ビジネスパーソンが、仮に22歳で学校を出たとして、65歳の定年まで働くとすると約43年間も働くことになります。定年が70歳だとすれば約50年にもなります。もっとも生涯現役を目指すならば動けなくなるまでということになるでしょう。
一方で、企業の寿命説は約30年とも約24年とも言われるようになった今日、自らの職業人生を最初から最後まで1つの企業で全うするということはそもそもむずかしいということになってきます。すると、どこかの時点で2つ目の会社に転職ということが現実味を帯びてくることになります。
重要だと思うのは、その転職する際に、1つめの会社が立ちいかなくなったから仕方なく2社目を探しているというのではなく、自分のキャリアを磨くために行うことができれば理想的であると思います。
そして、それを現実に可能にするためには、転職までになんらかの独自の「武器」を持っていると強いアピールができるようになると思います。将来するかもしれないその時に活用できる「武器」を持つにはどうすれば良いのでしょうか?
それはミドルやシニアになってからだこそ、「学び直し」が必要になっているのだと思います。ご自分の今後の方向性に合った「学び直し」が求められていると思います。
この「学び直し」によって、ミドルやシニアが自分独自の「武器」を手に入れるときのポイントとしては次の2点があると思います。
1.社外でも通用する武器を手に入れる
2,専門性という武器を手に入れること
上記の2つのポイントから「武器」を考えると、まず考えられるのは「資格」だと思います。その場合、自分がこれまで経てきたキャリアや職種と相性の良さそうな専門性や資格を選んだ方が享受できるメリットが大きいと思います。モチベーションも湧くはずです。
ではどんな「資格」があるのかを見ていきましょう。
例えば、IT系のビジネスパーソンならば、難易度が低い資格から、国家資格では「ITパスポート」です。合格率は約50%(2018年度データ)と言われています。
次に「基本情報技術者」、合格率は約25%です。「応用情報技術者」になると合格率は約23%です。
さらにITスペシャリストの資格としては、「ITストラテジスト」合格率は約14%、「システム監査技術者」は合格率14%、「プロジェクトマネージャー」は約13%、「システムアーキテクト」では約13%という合格率です。(いずれも2018年度データ)
次に経営・財務・会計ジャンルでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定」は合格率約77%、中小企業診断士は約24%、税理士は約15%、公認会計士は約11%です。(同上)
法律ジャンルでは、不動産系では「宅地建物取引士」は約15%、「マンション管理士」は約8%、「不動産鑑定士」は約32%です。
総務系では、「衛生管理者」が約44%、「行政書士」が約12%、「社会保険労務士」が約6%、「司法書士」が約4%という状況です。(同上)
知的財産系では、「知的財産管理技能検定」が約60%、「弁理士」が約7%です。
福祉系では、「介護福祉士」が約73%、「精神保健福祉士」が約62%、「福祉住環境コーディネーター」が約28%、「介護支援専門員(ケアマネージャー)」が約10%という状況です。(同上)
また、60代以降になっても仕事を継続していくためには、次のような「視点」が大切であると思います。
1.年齢を考慮して体力的にきつくない職種
2.これまで培った経験や知識やスキルが使える職種
3.外国人労働者や技術の進化に簡単には脅かされないような職種
4.今後マーケットの伸長が期待できる職種
5.個人顧客を対象としている職種
ちなみに、上記のような「視点」を取り入れたデータがあります。
「60代からでも食える仕事VS食えない仕事」(出所:My News Japan)というデータで下記のような職種となります。
【死ぬまで仕事がある最強職種】
医師歯科医、弁護士、コンサルタント、SE、データサイエンティスト、百貨店外商、特化したマーケター
【年齢に関係なく働ける安定職種】
司法書士、税理士、行政書士、社労士、美容師、理容師、プログラマー、研究者、建築家、デザイナー、中小企業診断士
そしてさらに、これらの資格を取得した後、将来的に独立を視野に入れている場合には、資格に関係する「実務」をなるべく多く、会社にいるうちに経験するように心掛けた方があとあと有利に運びます。
つまり、念願かなって独立した際に、「自己紹介用スクリプト」として活用するのです。
例えば、「これまで企業で情報管理部に20年間在籍し、あらゆるIT系の業務を一通りこなして参りました。このほど専門的な資格も取得いたしましたことから御社のさまざまなITに関する課題解決のお手伝いができると思います」と積極的に「実務」と「資格」を十分に兼ね備えているということを強くアピールするのです。
このようにお伝えすれば、契約を目指す企業様に安心感と信頼性を感じていただけるものと思います。
そして、「学び直し」は資格取得だけではありません。現在は例えば、各大学の社会人大学院や民間スクールやコンサルタント養成講座、自治体の生涯学習講座、各種セミナーなど非常に多様多彩に揃っています。たった1日の講座やセミナーに参加したことが、その人にとって、その後の職業生活における大きな「転機」になることもあります。
企業の中で年齢を重ねていくうちに、実務は部下に任せて判断業務のみで過ごしていると自らのトータルパフォーマンスが下がっていく可能性も考えられるものです。しだいに現場が見えなくなってしまうこともあるかと思います。気がつくと、会社からみれば、自分は「コスト」として見えているということにでもなれば大変なことです。
会社としても、自らモチベーションを持って新しい知識やスキルの獲得に精を出している社員のほうが長く居てもらいたいと考えるのではないでしょうか。
ミドルやシニアになってから積極的に学んでおられる方というのは、傍から見ていても考え方が大変ポジティブであり発想も新鮮です。また更に成長していきたいという強い向上心をお持ちのビジネスパーソンばかりです。
昔から「知るは楽しみ」とも言われています。ここはひとつ、今後の職業人生をさらに充実させていくため、またいつまでも現役で過ごしていくことができるように、ご自分に合った「学び直し」を考えてみるというのはいかがですか。