「理屈」だけで人は動かない

    コロナ禍で世の中は大変な状況にありますが、一方で、今日の社会は実にあらゆるモノや情報が巷にあふれている時代ですね。そのような生活の中で、私たちは、いつしか「モノ」を求めるというよりも、「気持ちの充足感」を求めるようになっているということを最近改めて感じています。

 

私が新入社員だった数十年前は、私は「お金」のために仕事をしていました。ところが、今日では若い人たちの価値観も大きく変化しています。「仕事を通じて自己成長したい」、「一生役に立つ専門知識やスキルを身につけたい」「自分を認めてほしい」・・。

 

つまり、今日の若い方々は、マズローの欲求5段階説でいえば、私の新人時代よりも、ずっと高いレベルの「肯定欲求」や「自己実現欲求」が強くなっているということです。

 

 同時に、今日の若い方々は、絶えず社内外環境を見て感じている中で、会社で毎日上司の言うことを聞いたからといって自分の将来が約束されたものでは無いという状況にあることを感じています。つまり、上司に対しての感覚が、私の新人時代とは大きく異なっていると思います。生活の中に占める会社の割合が私の頃よりも縮小しているように感じます。

 

ところが、現在、多くの管理職ポジションにある方々は、現に組織上の上位ポストであることから、自分の指示命令で部下は動くと考えがちです。それもある意味、仕方がありません。自分たち管理職は、新人時代から上司からの指示命令を忠実に遂行することで生きてきたからです。また、それが組織だからであり、「理屈」であるからです。いわば過去の時代においては、十分に「理屈」が機能し、「理屈」で十分に私たち社員は動いたのです。

 

 今日感じるのは、単に「理屈」だけでは、上司の思う通り部下は動かなくなっているということです。もちろん仕事を進める上で「理屈」は大変重要です。指示命令にロジックは不可欠です。でも、たとえ「理屈」が素晴らしいものであっても、「理屈」だけでは、今の部下が無条件に動くことに対する動機不足なのです。

 

現在の上司が新人時代にあっては、仕事ができる上司は部下から尊敬されていました。精緻なロジックに基づいた指示に、私などは尊敬しかありませんでした。今では、素晴らしく頭脳明晰な上司であっても、単に仕事だけできる上司に対しては、部下は大きな魅力を感じなくなっているのだと思います。

 

部下の仕事や会社に求める「欲求レベル」が高くなっていることから、上司に求めるものが、より深くなっていると私は考えています。仕事ができても、人間的に魅力的かどうかを含めて全人格的に見ているのだと思います。

 

今日における理想の上司像としては、仕事ができるだけではなく人としての魅力が必要になっているのだと思います。それは、部下からすると、目の前の上司が、将来の自分自身の姿になり得るからです。仕事だけでなく人間的にも魅力的な上司のもとでこそ、自分も成長できると考えているのだと思います。

 

では魅力が必要といっても、どのような上司であるならば部下は動くのでしょうか? それは例えば、上司自身が自分の目標に向かって努力している、仕事だけでなく私生活でも十分人生を楽しんでいる、社外でボランティア活動に注力している、社外で趣味や専門分野の研究会活動をしている等であり、また会社においては、部下一人ひとりの成長を心から望み良きアドバイスをくれる、会社の目標と個々人の目標をつなげてくれるような納得性のある説明をしてくれる、いつもオープンで朗らかで話しやすい、例えば、このような人間像だと思います。

 

少なくとも、部下からみて上司自ら魅力的な人間に「なる努力」を、常に行っているということが見える上司だと思います。もちろん、口で言うほど簡単なことではありません。私自身、たくさん反省し思いを新たにしなければならないことばかりです。しかし、この努力は上司本人にとっても自身の成長の種になるものだと思います。

 

加えて、部下の「自己肯定感を強化」してあげられる上司であれば素晴らしいと思います。職場では部下も色々な悩みを持ちながら仕事をしているものです。いつも明るく元気でいられるものではありません。落ち込むこともあるものです。そんな時にそっと見守るという方法もありますが、一歩進んで、気遣いつつ声をかけたり、課題解決について壁打ち相手になってあげたりすることも、悩む本人にとっては大きな救いになると私は考えます。

 

やがて、部下が自信を取り戻していくことを見とどける姿勢を持っていることも、部下からみれば魅力的な上司に映ると思います。

私自身も含め、普段から心掛けたいのは、何らかの自分なりの努力を日々こなしていくという愚直な姿勢こそが周囲に対する無言の影響力に関係してくるのだと思います。私自身もこのような人間像を目指していきたいと思う次第です。

 

 

これまでの著書一覧

現在までに書籍化された著書をご紹介させて頂きます。


普通のサラリーマンでもできる!「週末コンサル」の教科書

「週末コンサル」とは、サラリーマンが平日の夜や休日を使い、自分の経験や知識を活かしてコンサルティングをすることです。元手ゼロで始められ、「会社以外にも収入源をもち、ゆくゆくは独立もしたい。でもリスクをとるのはいや」というサラリーマンに最適。 本書では自分の「強み」の見つけ方から、サービス・メニューの開発法、「刺さる営業ツール」の作り方、成約率が高まるプライスリストの作り方、顧客獲得法まで徹底解説しています。

出版社:PHP研究所

価格:¥1400

「週末コンサル」とは、サラリーマンが平日の夜や休日を使い、自分の経験や知識を活かしてコンサルティングをすることです。元手ゼロで始められ、「会社以外にも収入源をもち、ゆくゆくは独立もしたい。でもリスクをとるのはいや」というサラリーマンに最適です。

 

本書では自分の「強み」の見つけ方から、サービス・メニューの開発法、「刺さる営業ツール」の作り方、成約率が高まるプライスリストの作り方、顧客獲得法まで徹底解説しています。



最強チームを作るリーダーの条件

出版社:ごきげんビジネス出版

価格:¥500 電子書籍

近年、「個」を基本とした成果主義は日本企業にすっかり定着した感がある。そんな中で成果主義を基本としながらも、チーム単位でメンバー一人ひとりのコミュニケーションを図り、チームとしての目標を達成し続けている職場が頭角を現してきている。


ふりかえってみると、我々日本人は仲間と協力しながら高い目標をクリアしていくやり方が得意であった。
今日、今こそ「チーム」として個々人が協力し合い、チーム目標を追いかけるやり方こそが、「個人」と「チーム」がともに生き生きと輝き、自走していく職場づくりの肝なのである。



うなづき力〜部下をやる気にさせるオヤジ管理職マニュアル33

出版社: ナナ・コーポレート・コミュニケーション

価格:¥ 1,365 

この本はズバリ、私のコンサルティング成果をご紹介してる著書です。

私が日産自動車(株)にいた時に、ある関東郊外の系列自動車ディーラー店舗様の業績アップ、経営改善を担当しコンサルティング&コーチングを行いました。

 

この店舗様は、それまで全社で業績40位と万年低迷店舗でした。私は「店舗まるごとコーチング作戦」というコンサルティング方法を開始しました。その後、8ヶ月後にベスト8位に浮上し、9ヶ月後にベスト5位、そして10ヶ月後にベスト3店舗にまで浮上しました。「うなずき力」は、このプロセスとノウハウをまとめたものです。 

 

小売店のコンサルティングをされておられるコンサルタントの方々に高い評価を頂いている書籍です。



若い人がワクワク、キビキビ動き出す!上司のためのコミュニケーション技術

出版社:ごきげんビジネス出版

価格:¥300 電子書籍

いよいよ「ゆとり教育」を受けてきた世代が企業の職場に増えてきました。豊かな時代に育ってきた「ゆとり世代」社員は、上司世代とは価値観やものの考え方の温度差が大きいというのも事実です。

 

今後、ゆとり世代社員は、ますます職場に増えてきます。彼らを戦力にしなければなりません。「それはわかっているけれど、うちのゆとり世代社員はいくら言っても動かない・・」という上司の悩みにお答え致します。若い部下と上手に付き合いたいと思っている方、若い人の育て方を学びたい方、新人教育を担当している方、ゆとり世代社員との間に考え方や価値観にギャップを感じている方へ。

 

コンサルタントの方々からは、クライアント企業で現場マネージャーやスタッフを動かしていくうえで非常に参考になったと好評を頂いています。



ビジネスで成功する人が身につけている気くばりの極意

出版社:ごきげんビジネス出版

価格:¥300 電子書籍

今日のビジネスシーンでは、あらゆる場面でCS(お客様満足度)が重要視されています。それゆえ消費者は、誰もが常に心地よい状態を求めるようになっています。人と人との間におけるCSとは「気くばり」を意味します。

 

CSレベルもある程度以上でないと認識されないのと同じように、「気くばり」もあるレベル以上が必要なのです。ここに重要な意味が隠れています。それは「気くばり力」を、もう1段階レベルアップさせることで一気に皆の注目が集まるということです。 これまで約200店舗における現場での指導やアドバイスを行ってきた中で、「できる人」に共通していることに気が付きました。それは皆「気くばり」が素晴らしく上手な人だということです。「気くばり力」こそ成功を呼び込む鍵なのです。

 

コンサルタントの方々からは、クライアント企業の現場で一瞬で現場マネージャーやスタッフと関係構築を図る上で非常に参考になったと好評を頂いています。



定年前後の人のための「講師デビュー」入門

出版社: 同文館出版

価格:¥ 1,470

この本は、私がクライアント企業にコンサルティングで伺っている際に、現場のマネージャーや店長の方々とお話をしている時に思いついた本です。店長やマネージャーの方々が現役時代の知識や経験をフル活用すれば講師になって活躍すこともできると思ったからです。 

 

特に 定年を迎えてからデビューしセミナー講師として活躍するためのノウハウをまとめました。自分の「いちばん得意なこと」を話して生きがいと収入を手に入れようという考え方です。講師になれば、これまでのビジネスマン人生で長年に渡って培ってきた「知識」「技能」を他人に伝えることができます。人に伝える、という行為からは大きな充足感が得られます。また自分の存在感を認識することもできます。それが「生きがい」にもつながっていくと思うのです。私自身の経験にもとづいた具体例を交えながら分かりやすく解説しています。

 

コンサルタントの方々からは、非常に参考になる部分(オンリーワンテーマの発見方法、コンサルタントの名刺の作り方、等々)があると好評を頂いています。