何から先に手を付ければいいのか? 課題の「優先順位」のつけ方

経営者の頭の中には、常に多くの解決しなければならない問題や課題が山積みです。ひとつ解決しても次の日には新たな課題が報告されてくるという状態にあります。

 

このように解決しなければならない課題が数多くある場合、どの課題からすぐに手を付けるべきでしょうか? 企業にとっても経営者にとっても「時間」こそ最も貴重なものです。より重要で緊急度の高い課題から手を付けなければなりませんね。これをはっきりさせるために、どのようにして優先順位を決めれば良いのでしょうか。

 

経営者が色々抱えている課題というのは、この優先順位が付けられることによって初めて解決すべき課題として意識し、課題解決という俎上に挙がってくるわけです。優先順位を付けるということは問題解決プロセスの中でも最初の入り口でもあり、且つ大変重要なポイントでもあります。

 

既にご存知かもしれませんが、簡単シンプルに抱えている課題の優先順位を付ける方法があります。通常は企業で活用されますが、何も企業にのみ使うものではありません。私たち自身が抱えている悩みや問題についても利用することができます。頭の中を整理整頓することにもなります。

 

とかく私たちはこの優先順位をつけることなしに行き当たりばったり手を付けてしまうことが多いものです。本来ならば早く手を付けなければならなかった課題が先送りされてしまい、ますます問題が大きくなってしまいかねません。方法は簡単です。実際におこなってみましょう。

 

 

まず始めにメモ用紙を用意してください。自分の中で気になっていることや解決したいと思っていることを次々に書いていきます。シンプルな言葉やキーワードでけっこうです。実はこの「文字化」するということが大変重要なことです。見える化できることで認識でき考えやすくなるからです。頭で考えているだけではすぐに消えてしまいますね。そして考えられる限りのことを次々に書いていきます。

 

次にコピー用紙等を用意して、縦軸には「重要度」という軸を直線で引き、横軸には「緊急度」という軸で直線を引きます。そして縦軸の上方向が「高い」、横軸の右方向が「高い」とします。すると4つのマトリクス(スペース)になりますね。

 

 

 

ここで、縦軸と横軸でできている4つのスペースの内、

 

・右上のスペース部分は「重要度が高く」且つ「緊急度も高い」課題が当てはまります。(第1象限)

・左上のスペース部分は「重要度が高く」且つ「緊急度が低い」課題が当てはまります。(第2象限)

・左下のスペース部分は「重要度は低い」且つ「緊急度も低い」課題が当てはまります。(第3象限)

・右下のスペース部分は「重要度は低い」且つ「緊急度は高い」課題が当てはまります。(第4象限)

 

 

 

次に、さきほどメモ用紙に書き込んだ気になることや解決したいことを、1つずつ4つのスペース部分の中に、それぞれがあてはまるように仕分け(書きこむ)していくのです。

 

どうでしょうか? すぐに仕分けができるでしょうか? 実をいうと、この4つに「分類」することがなかなか考え込んでしまう作業なのです。なぜなら、4つに分ける「基準」がご自分の中ではっきりしていないからです。

 

私たちは普段は漠然と頭の中にある課題を、その時の気分などで決めてしまうことが多いものです。その際、基準というものを意識していません。しかし洗い出した悩みや課題を4つに分類するとなると、それぞれどこに当てはまるのかという「基準」が、そこで初めて必要になってくるからです。

 

通常では誰でも頭の中には漠然とした準基準みたいなものを持ってはいます。知らず知らずのうちに人それぞれの持っている無意識の「価値観」が判断材料になっているからです。通常では、いちいち自分の「価値観」はこうだからこうなると考えることなしに決めてしまっているのです。

 

では「基準」というのはどのように考えれば良いのでしょうか。会社であれば「経営に与える影響度」で大中小の基準を設定して優先順位を考えてみることになります。個人の場合には、例えば、「ほっておくとヤバい順」とか、「喜んでくれる人が多い順」とか、「かかるお金が少ない順」・・等があるでしょう。つまり自分なりの基準を考えれば良いのです。

 

始めは、単に4つに仕分けしようということでしたが、だんだん大ごとになってきたと感じているのではないでしょうか。自分なりの「基準」というのはどうしたら決められるのでしょうか。

それは「自分は何を大切にしているのだろうか?」「何を重要と考えているのだろうか」ということですね。

 

一度、自分なりの「基準」によって、この4つのマトリクス(スペース)で考えておけば、次はもっと簡単に仕分けをすることができるようになります。やればやるほど短時間で明確に仕分けができるようになっていきます。頭の中にマトリクスができて優先順位を瞬時に判断することができるようになります。

 

 

さらに、仕分けした後での重要なポイントがあります。それは仕事に関することであっても、自分の人生に関することであっても重要なポイントは、左上の「重要度は高いが緊急度は低い課題」(第2象限)にいかに普段から取り組むかということです。この部分の課題に取り組むことは効率的な時間管理における基本原則といわれています。

「重要」ではあるが、現時点では「緊急ではない」という仕事や人生の事柄を、普段からコツコツと進めていくことが手遅れにならずに最終的に上手くいく秘訣ということですね。

 

私もまったくそうですが、とかく普段は右上の「重要で且つ緊急」(第1象限)のことと、右下の「重要ではないが緊急」(第4象限)のことにばかりに追われ時間を費やしています。今すぐには急がないことであっても「重要」なことに早く時間を使っていくことがやはり大切なのですね。

 

 

これまでの著書一覧

現在までに書籍化された著書をご紹介させて頂きます。


普通のサラリーマンでもできる!「週末コンサル」の教科書

「週末コンサル」とは、サラリーマンが平日の夜や休日を使い、自分の経験や知識を活かしてコンサルティングをすることです。元手ゼロで始められ、「会社以外にも収入源をもち、ゆくゆくは独立もしたい。でもリスクをとるのはいや」というサラリーマンに最適。 本書では自分の「強み」の見つけ方から、サービス・メニューの開発法、「刺さる営業ツール」の作り方、成約率が高まるプライスリストの作り方、顧客獲得法まで徹底解説しています。

出版社:PHP研究所

価格:¥1400

「週末コンサル」とは、サラリーマンが平日の夜や休日を使い、自分の経験や知識を活かしてコンサルティングをすることです。元手ゼロで始められ、「会社以外にも収入源をもち、ゆくゆくは独立もしたい。でもリスクをとるのはいや」というサラリーマンに最適です。

 

本書では自分の「強み」の見つけ方から、サービス・メニューの開発法、「刺さる営業ツール」の作り方、成約率が高まるプライスリストの作り方、顧客獲得法まで徹底解説しています。



最強チームを作るリーダーの条件

出版社:ごきげんビジネス出版

価格:¥500 電子書籍

近年、「個」を基本とした成果主義は日本企業にすっかり定着した感がある。そんな中で成果主義を基本としながらも、チーム単位でメンバー一人ひとりのコミュニケーションを図り、チームとしての目標を達成し続けている職場が頭角を現してきている。


ふりかえってみると、我々日本人は仲間と協力しながら高い目標をクリアしていくやり方が得意であった。
今日、今こそ「チーム」として個々人が協力し合い、チーム目標を追いかけるやり方こそが、「個人」と「チーム」がともに生き生きと輝き、自走していく職場づくりの肝なのである。



うなづき力〜部下をやる気にさせるオヤジ管理職マニュアル33

出版社: ナナ・コーポレート・コミュニケーション

価格:¥ 1,365 

この本はズバリ、私のコンサルティング成果をご紹介してる著書です。

私が日産自動車(株)にいた時に、ある関東郊外の系列自動車ディーラー店舗様の業績アップ、経営改善を担当しコンサルティング&コーチングを行いました。

 

この店舗様は、それまで全社で業績40位と万年低迷店舗でした。私は「店舗まるごとコーチング作戦」というコンサルティング方法を開始しました。その後、8ヶ月後にベスト8位に浮上し、9ヶ月後にベスト5位、そして10ヶ月後にベスト3店舗にまで浮上しました。「うなずき力」は、このプロセスとノウハウをまとめたものです。 

 

小売店のコンサルティングをされておられるコンサルタントの方々に高い評価を頂いている書籍です。



若い人がワクワク、キビキビ動き出す!上司のためのコミュニケーション技術

出版社:ごきげんビジネス出版

価格:¥300 電子書籍

いよいよ「ゆとり教育」を受けてきた世代が企業の職場に増えてきました。豊かな時代に育ってきた「ゆとり世代」社員は、上司世代とは価値観やものの考え方の温度差が大きいというのも事実です。

 

今後、ゆとり世代社員は、ますます職場に増えてきます。彼らを戦力にしなければなりません。「それはわかっているけれど、うちのゆとり世代社員はいくら言っても動かない・・」という上司の悩みにお答え致します。若い部下と上手に付き合いたいと思っている方、若い人の育て方を学びたい方、新人教育を担当している方、ゆとり世代社員との間に考え方や価値観にギャップを感じている方へ。

 

コンサルタントの方々からは、クライアント企業で現場マネージャーやスタッフを動かしていくうえで非常に参考になったと好評を頂いています。



ビジネスで成功する人が身につけている気くばりの極意

出版社:ごきげんビジネス出版

価格:¥300 電子書籍

今日のビジネスシーンでは、あらゆる場面でCS(お客様満足度)が重要視されています。それゆえ消費者は、誰もが常に心地よい状態を求めるようになっています。人と人との間におけるCSとは「気くばり」を意味します。

 

CSレベルもある程度以上でないと認識されないのと同じように、「気くばり」もあるレベル以上が必要なのです。ここに重要な意味が隠れています。それは「気くばり力」を、もう1段階レベルアップさせることで一気に皆の注目が集まるということです。 これまで約200店舗における現場での指導やアドバイスを行ってきた中で、「できる人」に共通していることに気が付きました。それは皆「気くばり」が素晴らしく上手な人だということです。「気くばり力」こそ成功を呼び込む鍵なのです。

 

コンサルタントの方々からは、クライアント企業の現場で一瞬で現場マネージャーやスタッフと関係構築を図る上で非常に参考になったと好評を頂いています。



定年前後の人のための「講師デビュー」入門

出版社: 同文館出版

価格:¥ 1,470

この本は、私がクライアント企業にコンサルティングで伺っている際に、現場のマネージャーや店長の方々とお話をしている時に思いついた本です。店長やマネージャーの方々が現役時代の知識や経験をフル活用すれば講師になって活躍すこともできると思ったからです。 

 

特に 定年を迎えてからデビューしセミナー講師として活躍するためのノウハウをまとめました。自分の「いちばん得意なこと」を話して生きがいと収入を手に入れようという考え方です。講師になれば、これまでのビジネスマン人生で長年に渡って培ってきた「知識」「技能」を他人に伝えることができます。人に伝える、という行為からは大きな充足感が得られます。また自分の存在感を認識することもできます。それが「生きがい」にもつながっていくと思うのです。私自身の経験にもとづいた具体例を交えながら分かりやすく解説しています。

 

コンサルタントの方々からは、非常に参考になる部分(オンリーワンテーマの発見方法、コンサルタントの名刺の作り方、等々)があると好評を頂いています。