ご存知の方も多いと思いますが、「SWOT分析」とは、企業の現状を把握する際によく使われるツール(フレームワーク)です。「SWOT」とはStrengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の頭文字を取ったものです。
企業の現時点での内部環境として「強み」と「弱み」を明らかにして、それに企業をとりまく「外部環境」を照らし合わせ分析することで、その企業の今後のマーケティング戦略に活用していくツールです。
実は、この「SWOT分析」は、企業だけでなく自分自身の「今後の人生戦略」を考えていく場合にも使えます。
とは言え、まずは通常の企業の場合の分析方法から見ていきましょう。
<SWOT分析>
・内部環境 :「強み (Strength)」及び「弱み(Weakness)」
・外部環境 :「機会(Opportunity)」及び「脅威(Treat)」
上記4つの分類に、企業の視点からそれぞれ抽出し当てはめていきます。
次に「SWOTクロス分析」で、それぞれ抽出した「内部環境」と「外部環境」の2つの側面を、それぞれ掛け合わせて様々な角度から具体的に検討していくことで戦略戦術に落とし込んでいきます。
この「企業」を、「自分自身」に置き換えて自分の「強み」「弱み」「機会」「脅威」を考えてみることにも使えます。
例えば、ある50代のビジネスマンが、これまでの経験や知識をもとにして経営コンサルタントになれないだろうか、自分にその可能性はあるだろうかと考えた場合、簡易的ではありますが関連する自分の「強み」「弱み」を、このSWOT分析を用いて検討することが可能です。実際、私自身も今までに何度も行っている方法でもあります。
例えば、具体的に下記のような感じになります。
(SWOT分析)
<内部環境>
・「強み (Strength)」としては、下記の項目が考えられたとします。
1.これまでにプロジェクト経験が多数
2.新規事業開発業務に携わった経験あり
3.マーケティング部マネージャー経験あり
4.コーチングスキルあり
5.ファシリテータースキルあり
・「弱み(Weakness)」としては、下記の項目が考えられたとします。
1.以前に習得したIT知識が現在では陳腐化している
2.最近では新規事業開発分野の専門家は多数存在している
<外部環境>
・「機会(Opportunity)」としては、下記の項目が考えられたとします。
1.社会的に副業や兼業が認められるようになってきた
2.会社へ副業申請をすれば副業が可能になった
3.コロナ禍により在宅勤務が多くなっている
4.企業の「専門家」や「コンサルタント」に対する依頼要望が増加している
5.副業案件を紹介するプラットフォームが数十社も存在している
6.企業トップが集まる経営者交流会が近年盛んになっている
・「脅威(Treat)」としては、下記の項目が考えられたとします。
1.基本的ITスキルはビジネスパーソンとして常識化している
2.コロナ禍で景気が低迷している
3.コロナ禍でリアルな経営者交流会が休会している
そして、これらを次の「SWOTクロス分析」で掛け合わせて考えていきます。
・「機会」×「「強み」
1.専門家依頼需要の多い新規事業開発分野の専門コンサルタントを志す
2.数十社の全てのプラットフォーム会社を活用する
・「機会」×「「弱み」
1.ITスキルをキャッチアップする
2.ITスキルに長けたパートナーと組む
・「脅威」×「強み」
1.他の新規事業開発コンサルタントと差別化するために自分独自のプログラムメニューをつくる
・「脅威」×「弱み」
1.オンライン版の複数の経営者交流会に参加し経営者との人脈をつくる
上記の「SWOTクロス分析」によって、自分の「強み」と「弱み」、そして「機会」と「脅威」を掛け合わせることで下記のような今後の行動プラン案が考えられるでしょう。
<今後の行動プラン案>
1.専門家依頼需要の多い新規事業開発分野の専門コンサルタントを志す
2.数十社の全てのプラットフォーム会社を活用する
3.ITスキルをキャッチアップする
4.ITスキルに長けたパートナーと組む
5.他の新規事業開発コンサルタントと差別化するために自分独自のプログラムメニューをつくる
6.オンライン版の複数の経営者交流会に参加し経営者との人脈をつくる
以上のように、この「SWOT分析」では、自分の「現在位置」を客観的に分析することができます。
ただし、これだけでは十分とはいえませんので1つの参考資料として考えていきましょう。
さらに、詳細に分析してみようと思われた場合は、ご自分の「強み」をより正確に把握し認識することが必要ですので、これまでのビジネス経験と知識の「全洗出し」を時系列で行うことをおすすめします。(参考:「全洗出し」の方法は、拙著「普通のサラリーマンでもできる!週末コンサルの教科書」(PHP研究所)に掲載しています)
まずは、ざっくりと自分自身を分析してみると、新たな「気づき」が出てくると思います。